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『無題』著者:彩加


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その男の子はいつも授業中に窓から外を眺めていた。

ふとみると、その右手はよれよれのズボンのポケットに差し込まれていたが、気のせいかもぞもぞとうごめいていた。それが確信となったのは、その手の動きが止まった数秒後、その男の子の股間の黒がじんわりと色濃くなったときだった。


その日の放課後、私はその男の子を校舎裏に呼び出し、ズボンを脱がせると白いブリーフの前が固まっているのを見た。


「 不潔、授業中にだなんて・・・・。なに を想像していたの 」


そういいながら、掃除用具箱から持ってきた火ばさみでブリーフを押し上げている不潔な棒をつまんで揺り動かす。


「頭がいい人って、こんなことするのも早いのね」


そう言いながら、ブリーフの前の開いた穴から火ばさみを差し入れ直接つまむ。火ばさみづたいに伝わってくる硬直感が、わたしの頭に伝わり、ゆっくりと火ばさみを滑らせて行きその先端に到達すると、 ぐっと手に力を入れ火ばさみを閉じる。つまんだまま、ブリーフの穴からつまみ出 すとおぞましく醜いものが晒されながら脈打ってい る。


「 ヘンタイ 」


そういうと、それをつまんだまま、校舎裏から運動場へと移動してゆく。

野球部やサッカー部の男の子たち、そしてソフトボール部の女の子たちが、若い肉体に汗を散ら せながら躍動しているその校庭の隅で、醜悪なものを火ばさみでつままれてたたずみ、恍惚な表情を浮かべている男の子……


……遠くから聞こえる明るく透き通った躍動する 声。その男の子の目に、その景色は白い光で覆われた スクリーンに映し出されている幻想に映り、つままれたままの醜悪なものに血液がなだれ込むのを感じていた。

幻想的な光景の端に、ひとりの少女がこちら を見つめて立ち、その手には火ばさみが握られてい る。男の子がその張りを増幅させるにつれ火ばさみが 喰い込んでゆくが、その痛みが快楽に変わるのには時間はいらなかった。快楽に変わるにつれ、目の焦点がうつろにな り口元が緩み醜悪な先端からは涎を垂らし火ばさみを 濡らし始めている。


「 キタナラシイ 」


口にするのも おぞましかった。その汚らわしい涎が火ばさみを伝っ てその少女の手を汚しているように思えた。


……映画でみたことのある景色。かっと照った真白な太陽と、 それが放つ真白な光線が少年の眼窩にへばりつき、遠くに聞こえる蝉 の鳴き声と野球少年の掛け声が頭の中に渦巻いている。


「 ああ・・・・ 」


幻想の世界へと誘われ、ふわっとした意 識に恍惚としはじめたその時、少年の目から光りを奪い、黒い闇がの しかかったと思ったとき、ふっと我に帰ると少年の瞳の中に少女の顔 が映りこんだ。

「あっ」と思った瞬間、脳の全てが痙攣し萎縮しはじめ、 少年の肉体全体に虫が蠢いているような感触が走ったその時、全身の血が一点に集中したかと思うと、全ての呪縛から解 き放たれる開放感が全身を駆け巡り脳を機能停止させた。

全ての思考と時間が停止したかのような錯覚の中で開放感 にひたっているとき、急に眼窩に白い光線が差し込み、その光りから 逃れようと俯くと、少女のさらっとした長い黒髪とそれがおおう背中が見えた。小刻みに震えている少女の背中が。

幻想の世界から引き戻され、脳が機能を回復し全ての音が 現実の音として鼓膜を震わせ、現実の色彩の景色が瞳に写り込む。


少女の苦しそうな息使いと「うぐっ、うぐっ」という嗚咽 が少年の耳に入り込む。少年の足元を見ると、少女が今しがたその可 憐な口元から吐き出したと思われる濁った粘液が固まっている。


「 大丈夫? 」


少年が少女の背中に手を置くと少女は激しく からだを揺すり拒絶する。先ほどまで手にしていた火ばさみは土の上 に放り出され真夏の太陽に焼かれていた。


暫くして立ち上がった少女の、綺麗にプレスされた紺色のスカートのプリーツにはところどころ濃いシミが浮かび、まだ残滓が残る粘液が垂れ落ちていた。しゃくりあげながら校舎に向かう少女の頭の中では激しい 憎悪と後悔の念が渦巻いていた。


「 穢されてしまった 」


あの時、飛んでくるボールを追いかける野球少年に自分の悪戯を見られまいと、あの少年の前に立ちふさがり視界をさえぎったつもりが、こんなことになって・・・。


あの変態がわたしをけがし た・・・・。


あの少年への憎悪以外の何ものも浮かばず、男という動物は女を穢す以外になにももたらさない。そんな観念が芽生えた瞬間だった。


憎悪の対象・・・・。


呆然として立っている少年の足元に転がったボールを追っ てきた野球少年の瞳いっぱいに醜悪なものが映し出され、その先端か らは残滓が垂れ下がっていた。



……野球少年との出会い、少年の生活が始まった瞬間だった。


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